銀座スフィア税理士法人
代表 金谷政德 様インタビュー
代表 金谷政德 様インタビュー
生駒:こんにちは。今日は会計事務所、銀座スフィア税理士法人にお邪魔しまして、代表、公認会計士・税理士の金谷様にインタビューをさせていただきます。
それでは早速よろしくお願いいたします。
金谷:はい、どうぞよろしくお願いいたします。
生駒:簡単な自己紹介をお願いします。
金谷:公認会計士・税理士の金谷 政徳と申します。 簡単な経歴を申し上げますと、大学では建築を目指し、工学部建築学科に入ったのですが、1年で挫折をして中退をいたしました。 それから2年くらいして大学に戻り、今度は商学部に入り直したのですが、所謂2浪みたいな形でしたので将来に対して焦りや不安を感じていた時期がありました。 そこで、何かしら就職に有利になる資格を取得しておこうと、大学に置いてあった資格ガイドブックを漁って良さそうな資格を探していたところ、公認会計士がありまして、どうやら収入も良く、将来性もある職業ということだったので、公認会計士資格取得の専門学校に通うことにしました。 当時は精神的にも結構追い詰められていたので、何としてでも公認会計士の資格を取ろうということで、ダブルスクールでしたが、なんとか大学在学中に資格を取ることができ、この道に入りました。 大学卒業後、大手の監査法人に11年勤務し、その後独立開業しました。 22年間ほど個人事務所として経営後、つい昨年、銀座スフィア税理士法人として会社組織に規模を拡大し、今に至っています。
生駒:現在の主なサービス内容と同業他社と違うところ、得意分野などはありますか?主に中小企業の経営、財務、税務、会計の支援をしています。 他と違うところは、商品の提供だけに留まらず、お客様の問題解決に柔軟に対応しているところでしょうか。 お客様に最終的に提供するのは決算書や申告書ではありますが、その過程に生じる問題や悩みを、1年間かけて解決していく。 経営上の問題だけでなく労務についてや資金繰り等、いろんな問題を経営者の皆さんは抱えていらっしゃいます。当然そういったお金に関することは我々にアドバイスを求められるので、そういった問題に対して一緒に向き合い、考え、解決策を講じ対応していくことに自負とやりがいを感じていますね。
生駒:なるほど。特に中小企業の分野は常日頃から多種多様な問題が降りかかってきます。 資金は当然として、人のこととか、経営者のもっとプライベートな部分での問題もあると思います。 そこらへんも上手にサポートされているんですね。
金谷:そうですね、話を聞くと、経営者の皆さんは「一番大事なのは健康」だとよくおっしゃいます。 ただ、それだけで事業を経営していくのは難しく、経営にはお金がかかりますから、「やはりお金も健康と同じくらい大事なんだ」という方も同様にいらっしゃいます。 お金は人生において非常に重要な要素で、お金があれば会社も回るし、生活もしていける、家族も養える。 その上、中小企業のオーナーの方々は、会社を経営していて、その先に従業員の方がいて、従業員の家族の方がいて、もちろん自分の家族もいるということを身近に感じて経営していかなければなりません。 もし会社が危機に陥ったときには私財を投入していくしかないので、家族経営といいますか、大手と比較すれば会社と家庭、組織と家族の垣根があまりありませんので、我々に対してもプライベートな相談がたくさんあるんですよね。 それこそ、お子さんの教育、学校、留学、親の介護をどうしたらいいかなど、多々あります。
生駒:なるほど・・・、ところで、大手の監査法人から独立されたのはなぜですか?
金谷:当時、昭和63年はちょうどバブルでして、私は上場企業の監査業務も担当していましたから、確かにそういったダイナミックな仕事は楽しかったしやりがいもありました。 ただ、途中からなんとなくですが、「私はこのままここにいて、これからどうなっていくのだろうか」と考えるようになりました。 それなりのポジションを任され、中間管理職の立ち位置になったとき、私がいる組織というものに対して大きな期待を持てなくなってきました。
生駒:そうですか、その組織として、そこに所属している金谷さん本人が見る明るいビジョンがぼんやりしてきたと。 会社の同僚、上司、全体を見渡したときに、自分の目指す理想郷がなかったとかよく聞く話ですが、実は私もそういう経験をしましたから、そのお気持ちはよく分かります。 もちろん、会社自体に大きな不満があったわけではなく、「もっとわくわくするようなことに挑戦したい」というご自身の可能性をもっと追求してみたくなったのではないでしょうか。 とはいえ、大きな組織から裸一貫飛び出して、また一人からスタートすることはものすごく勇気がいることだと思いますけどね。
金谷:そういった悶々とした気持ちを常々持ちはじめた時、ちょっとした事がきっかけで「もう辞めよう!」と、その先の計画や展望など全く考えずに辞めてしまいました。 一般的に、公認会計士が独立するときは、まずは会計事務所に入って修行したりするんですが、急に辞めてしまったものですからもちろんそういう伝手もなく、裸足で飛び出したような感じでしたね。 ただ、そんな時「金谷、大丈夫か?」と辞めた会社の先輩が声をかけてくれました。私が何の準備もしていなかったせいもあり、心配だったのだと思います。個人事務所を開業してからも気にかけてくださり、「お客さんはいるのか ?紹介するぞ」と、お客様を紹介していただくことで徐々に事業を軌道に乗せることができました。
生駒:それは人徳ですね。組織の中でサラリーマンとして働いていた時でも金谷さんの人間力というか、「応援したくなる魅力」があったからなんでしょう。 何かあったときにこそ、その人の価値が計られますが、監査法人でも誠実なお仕事をされてきたからこその結果なのでしょうね。または、ただ本当に心配されていただけなのか。(笑)
金谷:うーん、後者ですね。(笑)
生駒:起業されてから今までに大きな失敗はありましたか?
金谷:細かい失敗はたくさんありますよ。ただ、失敗を失敗とあまり感じない性質でして、忘れているのか、考えても仕方がないと思っているのか・・・
大きな失敗で言えば、所得税の確定申告は3月15日で締め切りなのですが、開業当社は締め切り日の明確な線引きがよく分かっていなくて、15日が明けて未明に投函したところ、期限後申告となってしまったということがありました。 お客様の確定申告だけでなく、当然自分の分もしなければいけないので、後回しにしていた自分の申告を夜中にやって急いで投函し「ぎりぎり間に合った」と思っていたのですが、結果的に締め切りに間に合っていなかったということで、税務署から怒られるといった税理士として大変恥ずかしい思いをした経験をしました。 これについては未だに反省していますね。もちろん今はあり得ないですよ!(苦笑)
生駒:弘法も筆の誤りというか、そんな出来事は税理士業界では前代未聞だったのかもしれないですね。(笑)
ところで、税理士の先生はものすごく細かいところを指摘してくるかと思えば、「そんなアバウトで大丈夫?」みたいに思うところもあるのですが、これは一体どういうことなのでしょうか。
金谷:それは行政裁量行政のせいですね。徴税法というルールがあるのですが、税法が明確に書かれていないんです。解釈に幅を持つことができ、幅があることで実務的に有利な部分もあるし、捉え方によっては全然変わってくるところでもあります。 結局それを最終的に判断するのは税務職員で、税務調査に来たときの彼らの裁量次第となります。そこの案配がその税理士の感覚的な部分で「たぶんこのくらいなら大丈夫、これはだめ」とアバウトな部分ときっちり線引きされた部分が混在するので、その点はお客様には何とも伝えにくいところではありますね。
生駒:なるほど。その辺の肌感覚のジャッジを税務署がやってしまうから分かりにくいんですね。 相手がAIだったらこうはいかないのでしょうが、逆にこの裁量の余地が人間にしかできないことなのかもしれませんね。
生駒:ところで、独立されてから大きなターニングポイントはありましたか?
金谷:今までたくさんのお客様とお付き合いをしてきましたが、その中でもある経営者の方との出会いでしょうか。その社長さんと一番最初にお会いした時は、会社がワンルームマンションの一室だったんですね。 靴を脱いで入るような会社が、その後ぐんぐん延びて、今では丸の内で従業員を何百人も抱えるほど大きくなりました。そこの社長さんとのお付き合いの中で私も会社経営のノウハウを学ばせてもらい、大きく成長できたのではないかと思っています。
生駒:サポートの中でお互いに成長されてきたと。その社長と金谷さんは馬が合ったのでしょうね。例えば、その社長の経営方針について「それはやらないほうがいい」っていうことは言ったりするのですか?
金谷:基本的に社長というものはわがままで他人から何か言われるのを嫌がりますよね。ですから私も「こうしろああしろ」は言わないですけど、別の角度から手を変え品を変え話をして、結果的に「こうしたほうがいいかな」と本人に気付いてもらえるように方向転換を促していきます。 でも、私がだめだと思っていても、必ずしもそうではないことも多々あるのが経営ですので、やはり私の考えを押し通す形でアドバイスするのは難しく、直感や経験則みたいなものが大事だと思いますね。
生駒:会計事務所で仕事をすることのメリットといえば、どんなところになりますか??
金谷:会計事務所は一般的にお客様が経営者です。会社のトップと直に話が出来、仕事ができるのはすごく貴重なことだなと感じます。スタッフにもよく言うのですが、全ての決裁権を持っている経営者を常に相手にするということは普通ではなかなか経験できないことですから、それを素晴らしいことだと感じてもらい仕事に邁進してくれたらいいですね。
生駒:この仕事に対してポリシーはありますか?
金谷:私は結構海外に行く機会が多く、先進国もそうでないところも行ってみて毎回感じるのは、日本ってやっぱりすごいなということです。 日本は国土が南北に長いので四季があり、冬の北海道から夏の沖縄まで、食べ物はどれも美味しいし、自然も豊かで安全、建物や道路は綺麗に整備されて、おまけに人もいいと、こんな国はなかなかないと感じます。 こんなに素晴らしい国を創ってきてくれたのは我々の前の代、その前の代、その前の代で、その上で豊かに生活できている我々はなんと恵まれているのかと。私にも子どもがいますが、この国をさらに良い国にして次の世代に受け継いでいかないといけないなと思っています。 そういった意味で、この仕事を通じて社会貢献をしていきたいなと考えています。
生駒:素晴らしい考えですね。社会貢献の気持ちがあるからこそ、うまく会社、仕事、人間関係が回るのだと思います。社会に貢献して、人に価値を与えてはじめて自分に利益として返ってくるのであって、先行して利益を得ようと考えていたら必ず足をすくわれることになりますから。
金谷:私もそう思います。そういったところは、子どもができてから特に考えるようになりました。
生駒:私も子どもができてからは特にそういった考えに至ることが多くなりましたね。とはいえ、金谷さんは子どもができる以前から、「損して得取れ」というか、まず損の立場からスタートして喜んでもらうというスタンスで仕事をされてきたのではないでしょうか。 だからこそ、今この結果が付いてこられているのかと思います。今日、金谷さんとこうして対談させていただけているのも、私は金谷さんの考え方に共感したからこそで、何というか「波長」が合ったのでお願いしたところでもあります。 私は「波長が合う」ってすごく大事だと考えてまして、これは無理に合わせようと思って合わせることもできますが、それだとなんだかぎこちなくなってしまい、やはりできれば自然と合う方と一緒に時間を共有したい、仕事がしたいというのが本能なのでしょう。 そんな考えもあり、金谷さんとは4年くらい前に知り合いましたが、こうして再会を果たして今お話しています。 この「波長」の部分が「社会貢献、利他」というキーワードでシンクロしたのだと思います。
生駒:これから独立を考えている方にアドバイスするとすれば何でしょうか。
金谷:そうですね、これも先ほどと一緒ですが、「自分が先に得をしようと思わないこと」です。
生駒:素晴らしい金言です。たぶん金谷さんが監査法人で働いていた時に「おれがおれが」と自分の利益を優先していたとしたら、独立後も誰からも心配されず、仕事の紹介もしてもらえず、気にかけてもらえなかったでしょう。
金谷:今はこんなふうに偉そうなことを言っていますが、当時はそんなふうには考えていなかったと思いますよ。(笑) 独立したての時期はすごく不安もあると思うし、自分の稼ぎを確保しないといけないので、自分のことがメインになってしまうと思うんですよ。 でも、なんでそういう考えに至ったかと言われたら、ひとつきっかけがあったのかもしれません。 監査法人の時に通帳を見ていたら先輩から、「通帳なんか見ても増えないぞ、若い時は自分に投資しろ、金なんか残すな!」と言われたことがありました。 バブルという時代背景もありましたが、その一言がきっかけで、その時から自己投資をすることについて考え、行動し始めたのかもしれませんね。
生駒:なるほど。今の話で「うん、うん」と頷いている方は独立しても成功されると思います。 逆に「え?」って思われた方はもう一度考え直してもいいかもしれませんね。 さて、最後になりますが、今回このインタビューを受けていかがでしたでしょうか。
金谷:改めて自分の頭の中が整理できて良かったです。
生駒:それは皆さんおっしゃいます。 「自分はこういうことを考えていたんだ」と、言葉化することができるので。 ある社長は、「インタビューのために過去の資料を見返したり、自分の過去や考えを書き出すことで、頭の中で散らかっていた物事の棚卸しができ、正に自分のルーツに立ち返ることができた。脳がすごく活性化する良い機会をくれた」とおっしゃっていただけております。 今日は色々と興味深いお話をお聞かせいただきましてありがとうございました。 また次回は飲みの席でも設けて楽しい話に花を咲かしましょう!
金谷:こちらこそ
金谷:はい、どうぞよろしくお願いいたします。
生駒:簡単な自己紹介をお願いします。
金谷:公認会計士・税理士の金谷 政徳と申します。 簡単な経歴を申し上げますと、大学では建築を目指し、工学部建築学科に入ったのですが、1年で挫折をして中退をいたしました。 それから2年くらいして大学に戻り、今度は商学部に入り直したのですが、所謂2浪みたいな形でしたので将来に対して焦りや不安を感じていた時期がありました。 そこで、何かしら就職に有利になる資格を取得しておこうと、大学に置いてあった資格ガイドブックを漁って良さそうな資格を探していたところ、公認会計士がありまして、どうやら収入も良く、将来性もある職業ということだったので、公認会計士資格取得の専門学校に通うことにしました。 当時は精神的にも結構追い詰められていたので、何としてでも公認会計士の資格を取ろうということで、ダブルスクールでしたが、なんとか大学在学中に資格を取ることができ、この道に入りました。 大学卒業後、大手の監査法人に11年勤務し、その後独立開業しました。 22年間ほど個人事務所として経営後、つい昨年、銀座スフィア税理士法人として会社組織に規模を拡大し、今に至っています。
生駒:現在の主なサービス内容と同業他社と違うところ、得意分野などはありますか?主に中小企業の経営、財務、税務、会計の支援をしています。 他と違うところは、商品の提供だけに留まらず、お客様の問題解決に柔軟に対応しているところでしょうか。 お客様に最終的に提供するのは決算書や申告書ではありますが、その過程に生じる問題や悩みを、1年間かけて解決していく。 経営上の問題だけでなく労務についてや資金繰り等、いろんな問題を経営者の皆さんは抱えていらっしゃいます。当然そういったお金に関することは我々にアドバイスを求められるので、そういった問題に対して一緒に向き合い、考え、解決策を講じ対応していくことに自負とやりがいを感じていますね。
生駒:なるほど。特に中小企業の分野は常日頃から多種多様な問題が降りかかってきます。 資金は当然として、人のこととか、経営者のもっとプライベートな部分での問題もあると思います。 そこらへんも上手にサポートされているんですね。
金谷:そうですね、話を聞くと、経営者の皆さんは「一番大事なのは健康」だとよくおっしゃいます。 ただ、それだけで事業を経営していくのは難しく、経営にはお金がかかりますから、「やはりお金も健康と同じくらい大事なんだ」という方も同様にいらっしゃいます。 お金は人生において非常に重要な要素で、お金があれば会社も回るし、生活もしていける、家族も養える。 その上、中小企業のオーナーの方々は、会社を経営していて、その先に従業員の方がいて、従業員の家族の方がいて、もちろん自分の家族もいるということを身近に感じて経営していかなければなりません。 もし会社が危機に陥ったときには私財を投入していくしかないので、家族経営といいますか、大手と比較すれば会社と家庭、組織と家族の垣根があまりありませんので、我々に対してもプライベートな相談がたくさんあるんですよね。 それこそ、お子さんの教育、学校、留学、親の介護をどうしたらいいかなど、多々あります。
生駒:なるほど・・・、ところで、大手の監査法人から独立されたのはなぜですか?
金谷:当時、昭和63年はちょうどバブルでして、私は上場企業の監査業務も担当していましたから、確かにそういったダイナミックな仕事は楽しかったしやりがいもありました。 ただ、途中からなんとなくですが、「私はこのままここにいて、これからどうなっていくのだろうか」と考えるようになりました。 それなりのポジションを任され、中間管理職の立ち位置になったとき、私がいる組織というものに対して大きな期待を持てなくなってきました。
生駒:そうですか、その組織として、そこに所属している金谷さん本人が見る明るいビジョンがぼんやりしてきたと。 会社の同僚、上司、全体を見渡したときに、自分の目指す理想郷がなかったとかよく聞く話ですが、実は私もそういう経験をしましたから、そのお気持ちはよく分かります。 もちろん、会社自体に大きな不満があったわけではなく、「もっとわくわくするようなことに挑戦したい」というご自身の可能性をもっと追求してみたくなったのではないでしょうか。 とはいえ、大きな組織から裸一貫飛び出して、また一人からスタートすることはものすごく勇気がいることだと思いますけどね。
金谷:そういった悶々とした気持ちを常々持ちはじめた時、ちょっとした事がきっかけで「もう辞めよう!」と、その先の計画や展望など全く考えずに辞めてしまいました。 一般的に、公認会計士が独立するときは、まずは会計事務所に入って修行したりするんですが、急に辞めてしまったものですからもちろんそういう伝手もなく、裸足で飛び出したような感じでしたね。 ただ、そんな時「金谷、大丈夫か?」と辞めた会社の先輩が声をかけてくれました。私が何の準備もしていなかったせいもあり、心配だったのだと思います。個人事務所を開業してからも気にかけてくださり、「お客さんはいるのか ?紹介するぞ」と、お客様を紹介していただくことで徐々に事業を軌道に乗せることができました。
生駒:それは人徳ですね。組織の中でサラリーマンとして働いていた時でも金谷さんの人間力というか、「応援したくなる魅力」があったからなんでしょう。 何かあったときにこそ、その人の価値が計られますが、監査法人でも誠実なお仕事をされてきたからこその結果なのでしょうね。または、ただ本当に心配されていただけなのか。(笑)
金谷:うーん、後者ですね。(笑)
生駒:起業されてから今までに大きな失敗はありましたか?
金谷:細かい失敗はたくさんありますよ。ただ、失敗を失敗とあまり感じない性質でして、忘れているのか、考えても仕方がないと思っているのか・・・
大きな失敗で言えば、所得税の確定申告は3月15日で締め切りなのですが、開業当社は締め切り日の明確な線引きがよく分かっていなくて、15日が明けて未明に投函したところ、期限後申告となってしまったということがありました。 お客様の確定申告だけでなく、当然自分の分もしなければいけないので、後回しにしていた自分の申告を夜中にやって急いで投函し「ぎりぎり間に合った」と思っていたのですが、結果的に締め切りに間に合っていなかったということで、税務署から怒られるといった税理士として大変恥ずかしい思いをした経験をしました。 これについては未だに反省していますね。もちろん今はあり得ないですよ!(苦笑)
生駒:弘法も筆の誤りというか、そんな出来事は税理士業界では前代未聞だったのかもしれないですね。(笑)
ところで、税理士の先生はものすごく細かいところを指摘してくるかと思えば、「そんなアバウトで大丈夫?」みたいに思うところもあるのですが、これは一体どういうことなのでしょうか。
金谷:それは行政裁量行政のせいですね。徴税法というルールがあるのですが、税法が明確に書かれていないんです。解釈に幅を持つことができ、幅があることで実務的に有利な部分もあるし、捉え方によっては全然変わってくるところでもあります。 結局それを最終的に判断するのは税務職員で、税務調査に来たときの彼らの裁量次第となります。そこの案配がその税理士の感覚的な部分で「たぶんこのくらいなら大丈夫、これはだめ」とアバウトな部分ときっちり線引きされた部分が混在するので、その点はお客様には何とも伝えにくいところではありますね。
生駒:なるほど。その辺の肌感覚のジャッジを税務署がやってしまうから分かりにくいんですね。 相手がAIだったらこうはいかないのでしょうが、逆にこの裁量の余地が人間にしかできないことなのかもしれませんね。
生駒:ところで、独立されてから大きなターニングポイントはありましたか?
金谷:今までたくさんのお客様とお付き合いをしてきましたが、その中でもある経営者の方との出会いでしょうか。その社長さんと一番最初にお会いした時は、会社がワンルームマンションの一室だったんですね。 靴を脱いで入るような会社が、その後ぐんぐん延びて、今では丸の内で従業員を何百人も抱えるほど大きくなりました。そこの社長さんとのお付き合いの中で私も会社経営のノウハウを学ばせてもらい、大きく成長できたのではないかと思っています。
生駒:サポートの中でお互いに成長されてきたと。その社長と金谷さんは馬が合ったのでしょうね。例えば、その社長の経営方針について「それはやらないほうがいい」っていうことは言ったりするのですか?
金谷:基本的に社長というものはわがままで他人から何か言われるのを嫌がりますよね。ですから私も「こうしろああしろ」は言わないですけど、別の角度から手を変え品を変え話をして、結果的に「こうしたほうがいいかな」と本人に気付いてもらえるように方向転換を促していきます。 でも、私がだめだと思っていても、必ずしもそうではないことも多々あるのが経営ですので、やはり私の考えを押し通す形でアドバイスするのは難しく、直感や経験則みたいなものが大事だと思いますね。
生駒:会計事務所で仕事をすることのメリットといえば、どんなところになりますか??
金谷:会計事務所は一般的にお客様が経営者です。会社のトップと直に話が出来、仕事ができるのはすごく貴重なことだなと感じます。スタッフにもよく言うのですが、全ての決裁権を持っている経営者を常に相手にするということは普通ではなかなか経験できないことですから、それを素晴らしいことだと感じてもらい仕事に邁進してくれたらいいですね。
生駒:この仕事に対してポリシーはありますか?
金谷:私は結構海外に行く機会が多く、先進国もそうでないところも行ってみて毎回感じるのは、日本ってやっぱりすごいなということです。 日本は国土が南北に長いので四季があり、冬の北海道から夏の沖縄まで、食べ物はどれも美味しいし、自然も豊かで安全、建物や道路は綺麗に整備されて、おまけに人もいいと、こんな国はなかなかないと感じます。 こんなに素晴らしい国を創ってきてくれたのは我々の前の代、その前の代、その前の代で、その上で豊かに生活できている我々はなんと恵まれているのかと。私にも子どもがいますが、この国をさらに良い国にして次の世代に受け継いでいかないといけないなと思っています。 そういった意味で、この仕事を通じて社会貢献をしていきたいなと考えています。
生駒:素晴らしい考えですね。社会貢献の気持ちがあるからこそ、うまく会社、仕事、人間関係が回るのだと思います。社会に貢献して、人に価値を与えてはじめて自分に利益として返ってくるのであって、先行して利益を得ようと考えていたら必ず足をすくわれることになりますから。
金谷:私もそう思います。そういったところは、子どもができてから特に考えるようになりました。
生駒:私も子どもができてからは特にそういった考えに至ることが多くなりましたね。とはいえ、金谷さんは子どもができる以前から、「損して得取れ」というか、まず損の立場からスタートして喜んでもらうというスタンスで仕事をされてきたのではないでしょうか。 だからこそ、今この結果が付いてこられているのかと思います。今日、金谷さんとこうして対談させていただけているのも、私は金谷さんの考え方に共感したからこそで、何というか「波長」が合ったのでお願いしたところでもあります。 私は「波長が合う」ってすごく大事だと考えてまして、これは無理に合わせようと思って合わせることもできますが、それだとなんだかぎこちなくなってしまい、やはりできれば自然と合う方と一緒に時間を共有したい、仕事がしたいというのが本能なのでしょう。 そんな考えもあり、金谷さんとは4年くらい前に知り合いましたが、こうして再会を果たして今お話しています。 この「波長」の部分が「社会貢献、利他」というキーワードでシンクロしたのだと思います。
生駒:これから独立を考えている方にアドバイスするとすれば何でしょうか。
金谷:そうですね、これも先ほどと一緒ですが、「自分が先に得をしようと思わないこと」です。
生駒:素晴らしい金言です。たぶん金谷さんが監査法人で働いていた時に「おれがおれが」と自分の利益を優先していたとしたら、独立後も誰からも心配されず、仕事の紹介もしてもらえず、気にかけてもらえなかったでしょう。
金谷:今はこんなふうに偉そうなことを言っていますが、当時はそんなふうには考えていなかったと思いますよ。(笑) 独立したての時期はすごく不安もあると思うし、自分の稼ぎを確保しないといけないので、自分のことがメインになってしまうと思うんですよ。 でも、なんでそういう考えに至ったかと言われたら、ひとつきっかけがあったのかもしれません。 監査法人の時に通帳を見ていたら先輩から、「通帳なんか見ても増えないぞ、若い時は自分に投資しろ、金なんか残すな!」と言われたことがありました。 バブルという時代背景もありましたが、その一言がきっかけで、その時から自己投資をすることについて考え、行動し始めたのかもしれませんね。
生駒:なるほど。今の話で「うん、うん」と頷いている方は独立しても成功されると思います。 逆に「え?」って思われた方はもう一度考え直してもいいかもしれませんね。 さて、最後になりますが、今回このインタビューを受けていかがでしたでしょうか。
金谷:改めて自分の頭の中が整理できて良かったです。
生駒:それは皆さんおっしゃいます。 「自分はこういうことを考えていたんだ」と、言葉化することができるので。 ある社長は、「インタビューのために過去の資料を見返したり、自分の過去や考えを書き出すことで、頭の中で散らかっていた物事の棚卸しができ、正に自分のルーツに立ち返ることができた。脳がすごく活性化する良い機会をくれた」とおっしゃっていただけております。 今日は色々と興味深いお話をお聞かせいただきましてありがとうございました。 また次回は飲みの席でも設けて楽しい話に花を咲かしましょう!
金谷:こちらこそ
ここでは、あえて金谷さん(関係性により)と呼ばせていただきます。
金谷さんとの出会いは、4年前のある講座の打ち上げだと思います。その後、それこそFacebookで繋がっていてリアルにお会いすることもなかったのですが・・・
昨年の年末にお会いする機会をいただくことになります。それは、金谷さんも小学生のお子さんをお持ちで僕が娘のことをFacebookに載せた記事にコメントを下さったことがキッカケとなりました。その後、年明けにもう一度夕食をご一緒する機会があってその折にこの度の対談の依頼をさせていただき、ご快諾いいただき実現致しました。
そう、何と言いますか???インタビューの文中のもございますが、何となく「波長が合う」のです。それは、ただ僕が感じているだけかもしれませんが(笑)
でもね、勝手かもしれませんが、その「波長が合う」からこそ4年という歳月を経ても再会があったと思いたいのです。ビジネスでも同じだと思いませんか?どうでしょう・・・
「波長が合う」方との仕事は楽しかったり、発展したりする。その逆も真なりで、いくら努力しても繋がらない関係性のことも多い。そこを考えても金谷さんとは、良い関係性でいたい~との思いがこのインタビューを終えて素直にそう感じられたのです。それは、ビジネス成功の秘訣が「利己」でなく「利他」であるとうい共通の発想に他ならないと思われます。
金谷さんにも小学生の双子のお嬢さんと低学年の坊ちゃんがいらっしゃり、そんなところの共通点もあり、いわゆる教育方針の話も議論でき、話の花が咲くこともあります。 ただ議論と言えど、論を戦わせるのではなく、お互いを尊重しながら話せる大人の関係性を保てるところも「波長が合う」と感じさせてもらえるのです。全て、勝手な私だけの妄想かもしれないですが・・・(笑) 今後ともビジネスや教育論だけでなく色んなお話をさせていただき、お互いの人生の花を咲かせられる関係性であれれば物凄く嬉しいと強く思いました。 ありがとうございます。
どんな社長・経営者にも「ターゲティングポイント」があり、社長業を全うする上で「仕事の流儀」があるはず・・・それをお聴かせいただき、情報発信させていただき、この記事をお読みいただいた読者であるあなたと情報共有がしたい思いでの企画になります。
金谷さんとの出会いは、4年前のある講座の打ち上げだと思います。その後、それこそFacebookで繋がっていてリアルにお会いすることもなかったのですが・・・
昨年の年末にお会いする機会をいただくことになります。それは、金谷さんも小学生のお子さんをお持ちで僕が娘のことをFacebookに載せた記事にコメントを下さったことがキッカケとなりました。その後、年明けにもう一度夕食をご一緒する機会があってその折にこの度の対談の依頼をさせていただき、ご快諾いいただき実現致しました。
そう、何と言いますか???インタビューの文中のもございますが、何となく「波長が合う」のです。それは、ただ僕が感じているだけかもしれませんが(笑)
でもね、勝手かもしれませんが、その「波長が合う」からこそ4年という歳月を経ても再会があったと思いたいのです。ビジネスでも同じだと思いませんか?どうでしょう・・・
「波長が合う」方との仕事は楽しかったり、発展したりする。その逆も真なりで、いくら努力しても繋がらない関係性のことも多い。そこを考えても金谷さんとは、良い関係性でいたい~との思いがこのインタビューを終えて素直にそう感じられたのです。それは、ビジネス成功の秘訣が「利己」でなく「利他」であるとうい共通の発想に他ならないと思われます。
金谷さんにも小学生の双子のお嬢さんと低学年の坊ちゃんがいらっしゃり、そんなところの共通点もあり、いわゆる教育方針の話も議論でき、話の花が咲くこともあります。 ただ議論と言えど、論を戦わせるのではなく、お互いを尊重しながら話せる大人の関係性を保てるところも「波長が合う」と感じさせてもらえるのです。全て、勝手な私だけの妄想かもしれないですが・・・(笑) 今後ともビジネスや教育論だけでなく色んなお話をさせていただき、お互いの人生の花を咲かせられる関係性であれれば物凄く嬉しいと強く思いました。 ありがとうございます。
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